『建築と日常』No.5()で掲載した《佐賀県歯科医師会館》(設計=坂本一成、2017年竣工)が「2019年日本建築学会作品選奨」に選ばれた。リンク先に選評と詳しい作品紹介のPDFが掲載されている。

選考委員がどなたか知らないが、選評は熱がこもっている。「社会に流れている意味を捉え、それを少しずらして新しい建築性を獲得する」という点を高く評価しており、おおむね共感するものの、それはあくまで「オフィス」や「ホール」の社会的形式をずらしているのであって、「医師会館」の社会的形式をずらしているのではないと思う。たとえば『建築と日常』No.0()で掲載した《東工大蔵前会館 Tokyo Tech Front》(設計=坂本一成、2009年竣工)と並べてみたとき、それが「大学施設/同窓会館」であるか「医師会館」であるかというような区別は、即物的な機能の面を別にすれば、設計者にとってほとんど意識にないのではないだろうか。《佐賀県歯科医師会館》は、僕が訪れたとき(2018年1月4日)の印象では、仕上げやスケールや空間構成(動線)などの複合的な意味で、正直もうすこし「医師会館」らしくてもよいのではないかと感じた記憶がある。