パナソニック汐留ミュージアムジョルジュ・ルオー──聖なる芸術とモデルニテ」展を観た(〜12/9)。ルオー(1871-1958)は生涯キリスト教をテーマにしたけれど、秘教めいた閉鎖性がなくて取っ付きやすい。一方、たとえば最近観たボナール(10月27日)などとは異なり、展覧会でたくさんを並べて観るよりも、それぞれ教会なり民家なりで1点ずつその環境とともに経験すべき作品という気にもさせられる。時系列やカテゴリーごとに相対的に観る必然性をあまり感じさせない。
下は今回の展覧会のメインヴィジュアルにも使われている《ヴェロニカ》(1945年頃)という絵で、「キリストが十字架を背負ってゴルゴタの丘へと向かう道で、ヴェロニカという女性が布でキリストの汗を拭ったところ、その布にキリストの顔の跡が残ったとされる伝説」()に基づいているらしい。乾いた土のように絵の具を盛り重ねた最晩年の絵よりも、このくらいの時期のみずみずしい色彩の絵のほうが今の僕には響いてくる。しかしその好みはいずれ変わるかもしれないという予感も抱かせる。