岡谷公二『郵便配達夫シュヴァルの理想宮』(作品社、1992)を読んだ。例の講義の課題図書の1冊にあげているので(3月27日)、出題者として読まないわけにはいかない。たまたま初回の講義で紹介したT・S・エリオットの「伝統と個人の才能」(1919)が、本の最後の章で引き合いに出されていた。以下の部分を引用し(実際の引用文は吉田健一訳)、それと対比的に、シュヴァルおよび著者の関心対象であるアンリ・ルソー、レーモン・ルーセルが論じられている。

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